大豆雑学

「大豆原料の機能的、経済的利点」

2009-8-10

食品に大豆を使用する上で重要なのは、たんぱく質密度。大豆原料の中でも「分離大豆たんぱく」は40〜90%の高密度が期待でき、栄養価も卵や牛乳と同等で非常に高い。大豆たんぱくの機能的・経済的側面への理解が深まれば、もっと食品に大豆が活用されるだろう。

食品業者は原材料コストについて購入時の費用のみを見ているケースが多く、得られる効果が把握されていない。この観点から大豆たんぱくを見直すと経済特性についても理解が進む。

世界中を見渡しても大豆ほど研究されている食品はなく、5,000年以上食べてきた歴史があり、安全性に疑いの余地はない。しかも万能性に富み、供給能力も十分にあり、業界団体のサポート体制も整っている。

たんぱく質は物理的形状や化学構造の違いによって食品中で異なった効能を果たす。そのため飲料やバー製品、穀物食品など用途が広い。特に大豆たんぱくは分子構造に親油基、親水基を持つため、多様な食品加工に利用できる。固形物には固体微粒子を接着するつなぎの役割を果たし、液体には懸濁剤として、さらに汁気のあるものには水分散性が機能する。今でこそ卵や牛乳の代替品として使われているが、昔は代用してもうまくいかないことがあった。品質改良や加工技術の進歩によって利用できるようになったのである。

大豆原料には、たんぱく質含量90%未満の分離大豆たんぱくのほか、粉体ではたんぱく質含量40%未満の「全脂粉」、53%未満の「脱脂粉」、45%未満で脂肪分が1%未満の「低脂肪粉」、65%未満の「濃縮大豆たんぱく」などがあり、それぞれ異なった機能を持つ。

例えば、飲料には大豆たんぱくの可溶性や溶媒の機能が役に立つ。また吸水性もメリットが大きい。製品の棚持ち延長や漂白、さらに水の粘度上昇やゲル化、接着剤としての働きも期待できる。脂肪乳剤を形成・安定化する乳化性も備え、親水性と親油性を併せ持つため水と油の分離を避ける効果も発揮。成分中のリポキシゲナーゼが色をコントロールする働きも持つ。

この多彩な機能を製パン業界では品質改善とともに、コスト削減に利用している。インド、米国、中東での実験結果したところ、パン生地に大豆粉を2〜3%加えると扱いやすくなり、焼き温度が下がって色も良く、やわらかくなって棚持ちも伸びた。

価格面でも乳たんぱく質のカゼインと比べると、大豆たんぱくは安価で安定している。1キログラム当たりの単価を調べると、大豆由来のたんぱく質が低コストであることが分かる。大豆たんぱく約4ドルに対し、カゼインは6ドル弱。大豆たんぱくの経済性の高さが分かる。

ケーキに使用する60〜100%の卵を大豆たんぱくで代替すれば、同じ機能を果たしてコストを低減できる。パン、クッキー、ドーナッツも同様、生産性や棚持ちの向上を可能にする。卵との成分比較では体重管理や生理活性構成要素、健康効能、たんぱく質密度など多くの面で勝っている。

食品加工に使う際、味を損ねてしまっては意味がない。味を保ったままどのレベルの大豆を使っていくか、効能表示をするのか否か、さらにコストメリット、マーケティングなど様々な戦略を練る必要がある。

スレッシュ・イタプ氏(アメリカ大豆協会グローバル・テクニカルディレクター/アメリカ大豆協会日本事務所と(社)日本パン技術研究所共催の「製パン用大豆加工原料セミナー」より)



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