大豆雑学

「豆乳」とその原料〜大豆加工原料の可能性〜

2010-1-15

サンオプタ・グレイン&フーズグループは大豆サプライヤーであると同時に豆乳メーカーでもある。年間12〜13万トンのオーガニックもしくはNON—GM大豆を取り扱い、豆乳は3工場で製造する。

世界の豆乳生産量は2007年に1,300万リットルだったが、来年には23%増の1,600万リットルが見込まれている。米国では17%増の77万6,000リットル、日本は9%増の18万リットル。また1人当たりの年間消費量は、10年前と現在を比べると世界全体で1.35リットル増、米国で1.5リットル増、日本では0.97リットル増と順調に伸びている。これは健康志向の高まりはもちろん、乳製品の価格高騰も後押ししている。

これまで大豆の青臭みが消費の妨げになっていたが、今では青臭みを取り除くことが可能になった。大豆を浸漬せずに熱水で磨砕する製法や大豆をブランチングした後に熱水で磨砕する製法、大豆を加熱しながら粉砕した脱臭大豆粉を溶解する製法、大豆の磨砕時に真空下で行う製法などがある。

特に欧米では牛乳の代替品として使われるため、青臭みのないものが好まれる。オーストラリアのニュージーランドでも同じ傾向がある。南米では飲料に豆乳を加えた商品開発が進んでいるが、アフリカではまだ飲む習慣がなく、ヨーグルトなどに使われている。

日本や韓国でも、青臭みのない高たんぱくの豆乳が好まれている。中国やシンガポール、台湾では自宅で作って飲む食文化があるため、青臭みを気にする人はほとんどいなかったが、今の若者は気にするようだ。

大豆を脱皮してフレーク状にし、オイルを取り除いた脱脂大豆フレークから、さらにたんぱくと炭水化物を抽出して分離させたものが「分離大豆たんぱく」で、たんぱく質濃度は90%以上ある。

脱脂大豆フレークを粉末にしたのが「脱脂大豆パウダー」で、さらに押し出し加工したのが「粒状大豆たんぱく」。脱脂大豆フレークから可溶性炭水化物を抽出すれば「濃縮大豆たんぱく」ができ、それをさらに押し出し加工すれば「繊維状の大豆たんぱく物質」ができる。さらに取り除いたオイルを精製すればレシチンができる。

当社は化学薬品を使わない自然製法を採用して大豆たんぱく、豆乳パウダー、生大豆パウダーに加工しており、豆乳パウダーは脱皮大豆を粉砕して加熱、冷却後にスプレードライしたのが「ベーシック」、繊維を除去したのが「ファイバーリデュース」、さらに脂肪分を分離して脂肪分の少ないほうが「ライト」、多いほうが「クリーム」としている。

丸大豆から豆乳を製造する場合、原料は低コストだが専用ラインが必要になる。しかし加工原料を使えば専用ラインは不要で工程の簡略化が図れ、大豆に付着している土壌菌のコンタミ防止にも役立つ。製造工程は、まず安定剤とサトウキビジュースを混ぜ、水を加えて撹拌し、豆乳パウダーと塩、第三リン酸カルシウムを入れてさらに撹拌すれば完成。

豆乳パウダーはすでに脱臭などの加工を行っているため、そのまま添加するだけでおいしい豆乳飲料ができ、濃さも添加量を変えれば自由に調節できる。常温で保存が可能だから取り扱いが容易。ヨーグルトやアイスクリーム、ベーカリーなどにも利用できる。

一方、生大豆パウダーは大豆の皮を除いて粉砕したもの。加熱工程はなく、通常の撹拌でなめらかな液体になる粒度で均一に仕上げており、豆腐、大豆デザートベース、プリンのほか、卵不使用のマヨネーズ風ドレッシングも作れる。

日本では豆腐をはじめとする伝統食品がまだ根強いが、世界各国ではすでに大豆食品の新たな開発が始まっている。米国の大豆生産者はあらゆる用途に合った大豆品種の開発と、世界に食品原料として大豆の提供ができるシステムの構築に努めている。

豆乳パウダーなど大豆加工原料は、新しい食品を創造していく意味で非常に重要である。日本では食生活の欧米化に伴い、大豆の摂取量が減っている。粉末や液体に加工した大豆をパンなどに取り入れる商品開発がもっと進めば、今までにない価値のある食品が生まれるだろう。

内山敦子氏(サンオプタ・グレイン&フーズ日本事務所代表/アメリカ大豆協会日本事務所と(社)日本パン技術研究所共催の「製パン用大豆加工原料セミナー」より)

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