大豆雑学

2009年度産米国大豆(新穀)の生産・収穫について〜大豆生産者の見解〜

2010-2-17

米国ミシシッピー州のカントンで大豆を259ヘクタール、トウモロコシを328ヘクタール生産している。

2009年は米国の大豆生産者にとって、非常に難しい年だった。世界的不況に伴う大豆相場の下落に加え、主要生産州において平年以上の降雨があり、数百万エーカーの農場が洪水に見舞われた。5月31日時点で平年より11%ほど作付けの遅れが見られ、減収の懸念から相場が跳ね上がった。

その後は好天が続いて相場は落ち着き、約9,000万トンという記録的な豊作が予想された。9〜10月にまた平年の3〜4倍の雨が降り、主要生産州では雪が降ったところもあったが、11月に入って回復。例年より7%ほど遅れたが、11月16日時点で89%の収穫が終わった。

米国の大豆生産者は販路をいくつか持っている。主には地域のカントリーエレベーター経由で販売するが、一般的に農場から50〜80kmほど離れた場所にある。川沿いの大型エレベーターへのアクセスを持っている生産者もおり、そうすると輸出向けに大豆を販売することも可能になる。

搾油工場やバイオディーゼル工場、特殊大豆市場などの販路もあり、生産者は非遺伝子組み換え大豆を作ったり、食品用大豆を作ったりする選択肢がある。

また1ヘクタール当たりに約72キログラムを播種するから、米国内の大豆作付面積3,200万ヘクタールに対して約240万トンの種子が必要になる。そのため多くの生産者は種子用大豆も育てる。種子用大豆は厳しい要件があるため、高いプレミアムがつく。このようにいくつかの選択肢から選ぶことができる。

マーケティングが収量に大きく影響

生産者はそれぞれマーケティングに対するアプローチが異なる。慎重な生産者もいれば、ハイリスク・ハイリターンを求める生産者もいる。「フォーワード契約」だと、特定の栽培面積に対して固定の価格がつく。生産者にとっても輸出業者にとっても、価格と数量がはっきりするから良い。

「ヘッジ・トゥ・アライブ契約」は、先物価格と数量を生産者が決めることができるが、ベーシスを固定することができない。ベーシスとは現物価格と先物価格との差になる。

多くの生産者はシカゴ商品取引所の先物市場でヘッジしているが、高いほうに動けばリスクも大きくなる。現物市場だと収穫しながら売るため、生産リスクはないが、価格リスクが高くなる。また多くの生産者はマーケティング企業に助言を求めている。良いマーケティング計画があれば、最終的に収益に及ぼす影響も大きい。

私は慎重派で、通常では予想生産量の半分ほどで「フォーワード契約」を結ぶ。追加作物は年の後半で売れるように貯蔵しておき、12月から翌年4月にかけて売っていく。月ごとの販売のタイミングは価格動向と将来の見通しで決まってくる。来年の大豆生産は約25%を「ヘッジ・トゥ・アライブ契約」で決めている。

価格予測に敏感な米国の大豆生産者

何を作付けるかは市場を見て決める。米国の生産者は価格予測に敏感に反応する。例えば、07年は需要が高まったことでトウモロコシを3,800万ヘクタール作付けし、今年は需要が高まった大豆の作付けが320万ヘクタールほど増えた。

期末在庫量は中国向けの輸出増加とエタノール生産の増加によって減少することが予測される。南米の生産量は干ばつから回復するために増加すると見られ、価格はトウモロコシも大豆も安定するか、やや上昇するとみている。南米の供給次第で、もしかすると価格は下がるかもしれない。

2010年はトウモロコシと大豆を200ヘクタールずつ作付けしようと考えている。残り150ヘクタール余りは未定。2種類の作物を生産することでリスクを回避できるし、作業の負担も軽減される。

不況で消費が落ち込む前は、大豆の利用は年率で4%ほど増えていた。これは人口増加と生活水準の上昇に起因している。今後の大豆需要は経済の回復とともに伸びると期待されており、米国の生産者はそれに対応する方法を見いだすだろう。遺伝子組み換え技術などを使うことで収量は1ヘクタール当たり約450キログラムに増えるとみられ、米国では300万ヘクタールほどの作付けが予想されている。

さまざまな技術が多様な企業で開発され、単収が増えるだけでなく、特定のニーズに応えた品種も増えている。例えば、低フィチン大豆。リンの量が減るため豚や鳥の糞の臭いが抑制され、環境保全につながる。バイオ技術によって今後、大豆の利用はどんどん変わっていくだろう。

米国では大豆の品質を高めようと、大学や種子会社などでたんぱく質や油分の含有量が多いなど、さまざまな特性を備えた品種を開発しており、生産者もたんぱく質や油分の含有量を考慮して品種を選択するようになっている。

ダニー・マーフィ氏(アメリカ大豆輸出協会財務担当役員、アメリカ大豆協会貿易対策・海外関係委員会副委員長/アメリカ大豆協会主催の「第25回アメリカ大豆品質展望コンファレンス」でも講演より



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