大豆雑学

世界の大豆および油糧種子の需給動向

2010-4-25

世界の油糧種子の動向についてここ2年間を見ると、期末在庫量が減少し、価格が大きく上昇している。これは需要が高まってユーザーがサプライヤーにアクセスできないのではないかと懸念が生じたためで、その後は少し安定したが、こうした価格変動は今後も続き、以前の水準に戻ることはもうないだろう。

プロテインミールも在庫量が減少し、品薄懸念が浮上して価格が上昇。また植物油も食品と燃料への利用が発展途上国などで急増し、緩衝気味だった在庫量が2004年ごろから減少、価格が上昇している。

大豆は油糧種子の中で最も重要な存在だが、期末在庫量は06/07年度にピークに達し、それ以降は落ち込んでいる。主要生産国で作付面積は拡大傾向にあり、昨年度にアルゼンチンは干ばつで減収となったが、収量も近年は安定している。2022年までに世界全体の収量は、今年と比較すると1エーカー当たり6ブッシェル増加するとみられる。

大豆の輸出量も増えており、油とミールのいずれもこの傾向が見られ、今後も続くことが予想される。米国では大豆の多くを搾油しているが、ブラジルとアルゼンチンの生産量を合わると、米国を上回る。中国でも生産量は増えているが、内需を満たす十分な量ではないため輸入でカバーしている。

大豆の貿易は日米が最大シェアを占めており、ブラジルは東南アジアとヨーロッパ、中国で存在感を現している。米国大豆の輸出先は昨年度に中国が53.4%を占めるまでに増え、一方でEUは17.5%に減少した。

米国での搾油マージンの相場は変動が激しく、最近は上昇傾向にある。搾油マージンに対して大豆油の及ぼす貢献度は、バイオディーゼルの需要が高まった当初は40%前後で推移していたが、このところ大豆ミールの需要の高まりを受けて下降傾向にある。

興味深いのは油とミールのいずれも輸出量が伸びていることである。米国はこれまで大豆油の輸出にそれほど熱心ではなかったが、これも変わりつつあり、現在ではメキシコや中国など多くの国が米国から大豆油を輸入している。

大豆価格と原油相場の連動続く

大豆の価格については07年から大豆油がバイオディーゼル向けに使用され始めると、原油価格の動きに影響を受けるようになった。原油高に大豆油の価格が連動し、結果的に大豆の価格も上昇した。この相関関係はしばらく続くと予想される。

今年度の世界の大豆生産量は前年と比べて4,000万トンほど増える見通し。昨年度はブラジルとアルゼンチンの生産量が干ばつによって減少したが、それが平年並みに回復すると予想されるからである。

米国も今年度は豊作が見込まれており、前年度はエタノールの原料としてトウモロコシの需要が拡大し、大豆からトウモロコシへの作付け転換が行われ、生産量は減少したが、今年度は大豆の価格が上昇したため逆転した。来年度には7,700万エーカー程度の作付面積になるとみられている。

10年先の長期的なトレンドは、発展途上国の急速な収入増加によって、プロテインミールの需要は増えると見られる。過去のデータから、大豆やその他の油糧種子ミールの需要の相関関係を調べると、中国の経済成長が大きく関与していることが分かる。

需要を補うには生産量を47%増

結論として、今後10年でプロテインミールの需要は43%増加することが予想される。中国は27%増加して全体の23%に当たる8,200万トンを占め、ブラジルは11%増、東南アジアは9%増。その他の大多数の国々については、比較的安定したレベルでとどまるだろう。

この需要量を賄うには生産量を47%増加しなければならない。これを支えるのがアルゼンチン、ブラジル、米国など主要生産国になる。

ただし、米国では綿花や小麦からトウモロコシや大豆への作付け転換は行われても、作付面積そのものを拡大するは困難なため、結果的にはブラジルやアルゼンチンが増加分を補うことになるのではないか。

08年の油糧種子の生産量は2億3,000万トン。これを3億3,000万トン程度に増やすためには、より単収の多い新品種を導入することで増加分の3分の1を補い、残り3分の2は作付面積を増やすことで達成したい。

今後は大豆だけでなく、すべての油糧種子の在庫が不足することが懸念される。需要が高まる中で、供給に対する圧力が強まり、価格は高止まりして競争はさらに激化するだろう。

フィリップ・デ・ラペルース氏(ハイクエスト・パートナーズ常務取締役/アメリカ大豆協会主催の「第25回アメリカ大豆品質展望コンファレンス」でも講演より)

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