大豆雑学

大豆成分の生活習慣病予防効果の系統的レビューとメタ分析

2010-7-7

「メタアナリシス(メタ分析)」とは、ある課題に関する多くの論文を系統的に収集し、それらの研究の質を評価し、抽出した結果のデータを統計的にまとめて効果を判断する新しい研究手法。

複数の研究において得られた効果の程度や方向が一致しない場合や、個々の研究の標本サイズが小さく有意な効果を見いだせない場合、また大きな標本サイズの研究が経済的、時間的に不可能な場合に有用とされる。ただし、メタ分析で複数の研究を定量的に統合してエフェクトサイズを大きくしても、その後に行われた大規模試験で背反する結果が出ることもあるため、メタ分析の結果解釈は細心の注意が必要である。

系統的レビューとメタ分析の実行プロセスは、

  1. 回答可能な研究テーマの選定
  2. 出版されているトライアルも含めて研究を漏れなく収集
  3. 各研究の妥当性の評価
  4. アブストラクト(論文要約)フォームに要約
  5. メタ分析による統計学的解析
  6. 結果の解釈
  7. 編集と定期的更新

——。

PUBMED(米国国立医学図書館と国立衛生研究所による医学記事配信サービス)におけるメタ分析の発表論文数は2008年で2,698報。2000年ごろから急激に増え、最近は機能性成分の効果を評価するために用いられることが多くなっている。

生活習慣病予防における大豆および大豆機能性成分の有効性をメタ分析によって検証し、その適切な摂取量を提案するため、3つのメタ分析を行った。

大豆イソフラボン単独摂取と血中脂質の関係

大豆イソフラボンは大豆の中に含まれる成分で構造が女性ホルモンと非常に似ている。現在は「骨の健康が気になる方」の特定保健用食品の関与成分としての利用が増えている。

以前に行ったメタ分析で、1〜3か月間のイソフラボンを多く含む大豆たんぱく質の摂取は、イソフラボンが除去された同量の大豆たんぱく質の摂取に比べて血中総コレステロールとLDLコレステロールをより強力に低下させることを明らかにした。このことから、大豆イソフラボンは大豆たんぱく質と同時に摂取した場合、脂質に対して共同的または相加的に改善効果があることが示唆された。

今回のメタ分析では、1〜3か月間の大豆抽出イソフラボンの単独摂取が血中脂質に及ぼす影響について評価することを目的とした。837報の論文を収集し、エビデンスレベル(根拠の信頼性と一般化可能性の高さを判定する基準)を採点。3点以上を高い質として13報に絞り込み、メタ分析を行った。

その結果、1日平均76ミリグラムのイソフラボン単独摂取は、総コレステロールに影響しなかった。同様にLDL(悪玉)コレステロール、HDL(善玉)コレステロール、中性脂肪についても影響しなかった。

石見佳子氏(国立健康・栄養研究所食品保健機能プログラムリーダー/近畿地域大豆研究会シンポジウム)

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