こんにゃく横丁

「1970年代をピークに減少している日本のこんにゃく産業」(2)

2009-6-3

昨年11月に中国のこんにゃく芋の産地とこんにゃく製品の加工業者を視察した。

天津の天津丸善食品有限公司は日系企業が出資、イオングループの商社アイクや太子食品工業など日本への輸出も行っている。98年ごろは業務用が8割を占めていたが、原産国表示の制度が変わったため、現在は小売業者のみ。

原料は、すべて自社でアルコール精製した精粉を使用している。中国の精粉技術は日本より劣るが、アルコール精製を行うことで粘度が向上し、品質は同等か、むしろ上回る。また異物除去とともに、粘度や臭いのばらつきを抑え、品質を安定させる効果もある。ただしコストが上昇するため、価格は通常の精粉の1.5倍になる。

製品は「小結しらたき」が75%を占め、「手巻きしらたき」が25%。輸送は船で、約1か月を要する。船内ではコストを抑えるため、定温倉庫は使っていない。そのため庫内温度が60度C以上になることもあり、板こんにゃくは凝固剤に起因する赤サビが発生しやすく、輸出は難しいという。中国のこんにゃく製造技術が向上しても、輸入には定温管理や空輸などが必要になり、コスト的に合わない。

24時間3交代制で稼動。従業員は約330人。全員が18〜27歳の女性で、近くの山東省の農村からの出稼ぎが多い。平均月収は2万4,000円だが、5年前に比べると2倍程度に上昇している。製品の安全性については特に力を入れており、冷凍ギョーザ問題以降、日本の輸出先から管理や検査の強化・徹底が要求され、ISOやJAS認証をいち早く取得した。多少のコスト高とはいえ、まだ人件費が安いことから基本的には人海戦術で、精粉の異物除去や製品の滅菌・検査を行っている。

中国系の曲靖富力発展有限公司では精粉加工をメーンに、こんにゃく製品も一部中国国内向けに出荷している。95年に設立し、原料加工の実績は荒粉換算で年間約3,000トン、精粉換算で同約200トン。製品は同約2,000トン。

こんにゃく芋は生産者名まで記録するなど、トレーサビリティを確立。荒粉加工は機械化しているが、検査は手作業で行っている。製品は「板こんにゃく」「小結しらたき」など。

雲南省の雲南ホンユウ食品有限公司は、06年設立の新規参入企業。約6.7ヘクタールの敷地を有し、こんにゃく芋の加工能力が年間2万トン、精粉の製造量は同1,500トン。「結びしらたき」「こんにゃく麺」「ねじれこんにゃく」などのこんにゃく製品のほか、精粉を使った飲料も製造しており、現地ではよく売れている。

輸出は行わず、販売先は雲南省で最大の都市、昆明のウォルマートなどだが、いずれは輸出に乗り出す可能性もある。こんにゃくの産地形成にも取り組み、自社保有のほ場670ヘクタールを管理するほか、地元農家と2,670ヘクタールを契約しており、栽培の技術指導も行う。

中国でこんにゃくは炒め物や鍋料理に使われるほか、ペットフードやソーセージの添加剤としての利用が増えているそうだ。こんにゃく芋の精粉加工については、手作業で皮をむいてから精粉に加工する。また農家から荒粉を購入して精粉に加工するケースもある。農家でも皮むきは手作業で行っている。

(神代英昭・宇都宮大学農学部農業経済学科講師 講演より)

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