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古代ノルウェーでは、家畜は頭数で取り引きされてきたが、肉や皮に品質の差があることが分かり、上質の牛や羊を持つオーナーは差別化を図るために「焼印」を押すようになった。この焼印がブランドの始まりといわれている。
ブランドは「視覚」「嗅覚」「聴覚」「皮膚感覚」「味覚」の五感への訴求によって認識される。例えば、コカ・コーラは赤色で商品をイメージさせてきた。これが視覚への訴求。米ニューヨークのタクシー会社、イエローキャブも、タクシーを最も見やすい黄色で統一し、イメージさせている。
誠実と信頼を表す青色は、多くの企業が使っている。コカ・コーラの赤に対し、ペプシコーラは青。世界の33%の人が青色からペプシコーラをイメージするという。
嗅覚への訴求では、シンガポール航空が香りの研究に力を入れている。座席などの評価は低いにもかかわらず、ニューヨークの旅行専門紙で2年続けて最優秀航空会社に選ばれており、香りのブランド力によって好感を持たれた事例である。世界一のクレヨンメーカー、クレヨーラ社もクレヨンに独特の香りを付けることで他社製品との差別化を図り、子どもたちの記憶に訴求している。
そのほか、新車の香りも工場の最終ラインで故意にスプレーされたもの。非常に混雑する英ロンドンの地下鉄では、列車が駅に到着する前に香りを流すことで乗客の不満を解消している。
聴覚への訴求といえば、ベンツやロールスロイスなど高級車のドアの開閉音が挙げられる。ダイムラーベンツは、この開閉音を出すために約10年間の歳月を費やしたといわれている。また、インテルはCMで「インテル、入ってる」というキャッチコピーの後に短いフレーズ音を流しているが、このユニークな旋律を繰り返すことで企業イメージを訴えている。
世界トップのノキアの携帯電話に内蔵されている呼び出し音は「NOKIA TUNE」と呼ばれ、1日に1,000万人近くが耳にしている。「うれしい」「元気」「自信」をイメージしたメロディで、聴覚に訴求するブランドとしてはノキアが最も高く評価されている。
自動車メーカーのシトロエンは毎朝始業前に社歌を流し、全世界の社員6万人が使用するパソコンの起動音も社歌にするなど、このアイデンティティーメロディが団結力を生んでいる。またケロッグは、コーンフレークの“パリパリ”という乾いた音が商品のブランド力を作り上げており、この音がなければ消費者に新鮮さが伝わらないという。
音を聞くだけで商品を思い出す、それが聴覚に訴えるブランド力。日本人はラッパの音を聞くと豆腐を思い出し、北欧ではベル音でアイスクリームがイメージされる。
音は、人の感情も大きく左右する。スーパーやレストランではスローテンポの音楽を流しているが、これは思考を妨げることなく消費者が落ち着いて飲食や買い物をできるようにするため。逆に若者が対象の店はアップテンポの曲を流し、購買意欲を刺激している。パチンコ店が大音量で音楽を流しているのは、そうしなければ売り上げが落ち込むからで、米ラスベガスのカジノでは1990年、スロットマシンの音を小さくする装置を導入したところ、売り上げが4割も減ったという。
ブランド戦略上で最重要視されているのが、皮膚感覚への訴求。触る行為は、人間の営みの中でも大きな意味を持っている。コカ・コーラは以前、スマートな流線型のビンに入れて販売していたが、このビンを触ればほとんどの人がコカ・コーラだと認識できた。
味覚に訴えるのは商品でしかなく、五感への訴求力の中では最も弱いが、食品に関しては味覚への訴求が必要不可欠。
味覚には「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うまみ」の5つがある。例えば、スナック菓子は風味がないため、甘味や塩味、酸味を製造過程で付けている。
ただ、五感への訴求を満たしていても、時代とともにブランド価値が変化する場合がある。その典型がコカ・コーラ。ブランド評価が世界で最も高かったコカ・コーラだが、現在はブランド力が急激に低下し、創業以来の危機に瀕している。流線型のビンが流通の変化に伴って缶になり、皮膚感覚への訴求力がなくなった。またファストフード店の出現で紙コップが使われるようになり、視覚への訴求も喪失。さらにミックスマシンで作られるようになって商品の均一化が図れなくなり、味覚への訴求も失ったことで、これまで築き上げたブランド力が一気に弱まった。(続く)

ホテルグランヴィア京都で開かれた京都府豆腐油揚商工組合の新年懇親会。
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社史を読むだけでも永持孝之進名誉会長経営哲学が見える1冊。
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