こんにゃく横丁

ミャンマー・沖縄の輸入こんにゃく原料の流通実態

2010-5-2

中国産のこんにゃく製品の輸入は1990年から増加し、2007年は偽装問題などの影響で落ち込んだが、今は安定している。そのため、近年のこんにゃくを巡る輸入の不安定要素は製品ではなく、原料にある。

こんにゃく原料の輸入は、沖縄に適用される1次枠が減少し、2次枠が急増している。2〜4月以外はほとんど増えなかった季節変動もなくなった。しかも輸入国はミャンマーに集中しており、そのため08、09年度に特別セーフガード(緊急輸入制限)が発動された。08年度は9か月目だったが、09年度はわずか4か月目。このことから最近の輸入動向の変化が見て取れる。輸入原料はコストメリットが大きいが、品質や安全性、輸入量の安定性には留意すべきである。

沖縄は台風など自然条件の制約があるため、1次枠として250トンが特別に設けられ、輸入原料が使われてきた。ただし、県内で陸揚げして消費することが原則。税率は上昇することもあり、当初は10%だったが、81年から20%に、96年からは40%になっている。割り当て業者も制度が始まった94年に11社いたが、5社まで減少した。沖縄では今も1次枠が中心で、2次枠での輸入はほとんどない。消費が減少傾向にあるため、輸入量も減っている。輸入形態の主流は03年に荒粉から精粉に変わった。

沖縄のこんにゃく製造業者のほとんどは、中国やインドネシア、ミャンマーからの輸入原料を使っている。中国産以外は野生種で、インドネシアとミャンマーの一部からは今も荒粉で輸入している。輸入が急増しているミャンマーはLDC(後発開発途上国)のため、こんにゃく原料の輸入は基準数量まで無関税だが、沖縄では1次枠の40%がかかり、沖縄枠の原料が割高になってきている。

こんにゃく製品は、輸入原料を長く使用してきたためか、原料原産地表示が徹底されている。価格は、本土より内容量が多いにもかかわらず低い。最近は本土から進出した大手量販店が、国産原料の製品を低価格で販売している。

ミャンマーのヤンゴンとマンダレーでの視察調査は、ミャンマーこんにゃく協会に加盟する5社に対して行った。いずれの業者もこんにゃく栽培や原料加工を始めたのは05〜08年の間で、歴史は浅い。荒粉加工はすべての業者が行っているが、乾燥処理は天日によるものがメーン。木炭や石炭を使っての火力乾燥も1部で行われているが、日本に比べると乾燥技術は低く、歩留まりや品質には課題が多い。

精粉加工まで行っている業者は5社ほど。設備を導入してそれなりの技術はあるものの、荒粉の品質が低いため白度と粘度に問題がある。中にはアルコール精製プラントを導入して高度な加工を行う業者もいるが、道路や電力など社会インフラが未整備という問題がある。

こうした業者は、こんにゃく加工だけでなく、携帯電話販売や中古車輸入、化粧品代理店なども行っている。こんにゃく加工は、日本との関係づくりが目的なのだ。軍事政権のミャンマーでは経済活動をする際にさまざまな許可が必要になるが、政府の高官にコネがある財界の有力者が経営しており、資金面での問題はない。

現在は関税がかからないため、日本への輸出意欲が高まっているが、今回の視察で安定的な供給体制には課題も多い印象を受けた。

神代英昭氏(宇都宮大学農学部准教授)/(財)日本こんにゃく協会の委託による輸入影響調査の結果)

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