納豆横丁

テンペ使用菌をめぐる諸問題(1)

2010-9-6

当社は、日本の発酵食品の素になる麹菌や酵母、乳酸菌の製造を始めて今年で100年になる。麹菌が日本の国菌であれば、テンペ菌はインドネシアの国菌といえるだろう。

日本にテンペが出てきたのは今から50年以上も前。そのころからテンペ菌を作っていたが、時代の移り変わりとともに菌も変化させ、当時の菌とは異なるものとなっている。

インドネシアには、いくつかの種菌がある。ラギーテンペは、キャッサバでんぷんかすやインディカ米にリゾープスを接種し、天日乾燥したものを粉砕、粉状化した種菌胞子を大豆に接種して作る菌で、インドネシアでは工業的に作られている。

工業的なものではなく自然な方法として、包むという方法もある。この種菌は、ウサールといってテンペの一部を2枚のハイビスカスの葉の間に並べ胞子が形成されるまで培養し、天日乾燥したもの。ウサールを作るときはハイビスカスの葉の間にテンペを入れて、そこに菌を形成させている。

しかし、この方法だと一番初めに作ったとき、テンペがなければテンペ菌が出てこなかったことになる。そこで、ハイビスカスの葉とウサールの微生物を分離してみた。自然の葉には当然、いろいろな菌が付着しているため、界面活性剤で何度も洗ってから水洗いし、上澄みを培養したシャーレに入れ調べた。

1回目に洗った上澄みには葉の上にある菌が出てくるが、10回ほど繰り返し洗うことで表面の菌は分離され、何も出てこなくなる。しかし、不思議なことに20回ほど洗った葉をシャーレに置くとテンペ菌が出てくる。これは菌が葉の中に内生しているから。インドネシアの人たちは、これを経験的に知っていたのだと思う。(つづく→

秋田今野商店社長、今野宏氏(日本テンペ研究会の春季集会の特別講演より)

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