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網の上にせんべい状の「トゥアナオ」を1枚1枚並べていく。タイの古都チェンマイの北部の村、メイアイ。強い日差しが照りつける中、辺りには香ばしい匂いが漂ってくる。実はこれ、納豆なのだ。
トゥアナオはタイ語で「腐った豆」。煮た大豆をバナナの葉でくるんで発酵させ、つぶしてのばして乾燥させる。スープなどの調味料として使うことが多い。タイ北部の山岳地帯に暮らす少数民族の伝統食品だ。
「生まれたときから祖父や父が作っていた。いつ始めたかわからない」と話すのはトゥアナオ専業農家、マイ・ジュンターさん。朝4時から日暮れまで息子らと毎日作業を繰り返す。
タイ、中国、韓国、ブータン・・・。納豆は日本固有の伝統食品のようだが、実はアジア各地で作られている。民族学者の中尾佐助博士は代表的な納豆、インドネシアの「テンペ」、ネパールの「キネマ」と日本の納豆を結び、「納豆トライアングル」と命名した。三角形の中心に、中尾博士が納豆の起源と考える中国・雲南省がある。
九州大学の原敏夫助教授はアジア各地の納豆菌の遺伝子を調べ、配列の違いから進化の過程をたどった。その結果、日本の納豆菌は約7,000万年前、ネパールやタイの納豆菌も1億数千万年前に中国から分かれたことを突き止めた。アジアの納豆は源流でつながっている。
アジアの納豆に共通するのは山間部などで細々と作られているマイナー性。「肉や魚、しょう油などが手に入りにくい貧しい地域で発達した」と国立民俗学博物館の石毛直道名誉教授はいう。肉や魚の流通が活性化し、食生活が向上すると片隅に追いやられていく。タイのトゥアナオも年々生産農家が減っている。
日本も例外ではない。「1980年代までは消えゆく伝統食品の1つ、という危機感があった」と、くめ・クオリティプロダクツの木村弘生氏は振り返る。風向きが変わったのは1990年代に入ってからだ。
「血栓予防などの効果を持つ納豆は健康食品の切り札として受け入れられている」と話すのはアサツーディ・ケイの岩村暢子氏。
脚光を浴びているのは日本の納豆だけではない。くめ・クオリティプロダクツが2003年に発売したテンペ。月3,000食で始まった生産は今や30万食に達する。専用工場も稼働させ、量産体制を整えた。
食生活が向上した日本で健康志向が台頭し、衰退していた伝統食品が復活を遂げる。アジア各地で納豆が鮮やかに蘇る日はそう遠くではあるまい。

紙吹雪が舞う中でオープンした「2012 第4回国際大豆食品加工技術および設備展覧会」
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納豆が食卓の上で八面六臂の大活躍!
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