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池波正太郎(1923〜1990年)『鬼平犯科帳』の一編『あきれた奴』では、餡かけ豆腐についての描写がある。
門外の東の濠端に、夜になると〔茶飯売り〕が荷を下す。ひどい雨でもないかぎり、かならずあらわれる。このあたりは幕府の御用屋敷が多く、夜ふけてからそれぞれの小者や、夜勤の者たちが腹をみたしに出て来るので、なかなか繁昌をしているし、お上のゆるしも得ていた。あるじは五十五、六の、でっぷりと肥った老爺で、無口だがおだやかな人柄だし、それに茶飯がうまい、そのほかに餡かけ豆腐も売るし、燗酒も出す。寒い夜などに気が向くと熱い〔けんちん汁〕の用意をしていることもあって、このあたりでは大評判になり、長谷川平蔵も、時折、食いしん坊の木村忠吾が夜勤のときなど、よびつけて、「おい、うさぎ。濠端へ行け。ただし女房どのに気取られるなよ」などと、銭をわたして茶飯と餡かけ豆腐を買いにやることもあった。
池波正太郎ファンである佐藤隆介氏の母親の実家は、信越国境に位置する妙高山麓・赤倉で「豆腐屋旅館」を営んでいたといい、豆腐に関しては一家言を持つ。佐藤氏が子供の頃からよく食べていた餡かけ豆腐のレシピは以下のとおり。
豆腐をやや大形に切り、たっぷりと水を加え、食塩を一つまみ入れ、煮加減をはかってすくいあげ、湯を切る。豆腐を煮るときは「塩一つまみ」を加えるのがよいということになっている。こうすると、普通の豆腐でも淡雪のようにやわらかくなり、しかも少々煮過ぎてもすが入らない。深い器に取った豆腐の上から、煮立てた葛餡をどろろとかけ、おろし生姜、さらし葱、あるいは揉み海苔などを添えて、ハイお待ちどおさま……という次第。葛餡は、煮出汁に醤油・味醂などでややこっくりと味をつけ、煮立たせたところへ水で溶いた葛を加えて練ったもの。
餡かけ豆腐は秋の夜にしみじみとおいしい料理だが、池波の作中に触れられた「けんちん汁」もまた豆腐料理のひとつ。

ホテルグランヴィア京都で開かれた京都府豆腐油揚商工組合の新年懇親会。
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社史を読むだけでも永持孝之進名誉会長経営哲学が見える1冊。
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