豆腐横丁

「第6回国産大豆サミットin大阪」パネルディスカッション(Part2)

2009-8-10

山下 豆腐屋のプライドについて、どのように考えているのか聞きたい。

棚橋 弟は小学生のころ、家が豆腐屋だからとばかにされ、よく泣いていた。両親は地域の食卓を守っているプライドを持っていたので、そのたび弟に「豆腐屋であることに自負を持て」と言い聞かせていた。

大学受験を控え、ここまで育ててくれた両親のためにも家業を継ごうと決めた。そして大豆や豆腐について勉強するため、農学部に進学。大学院も卒業した。

子どもは和食よりもハンバーグやスパゲッティが好きだし、朝食にパンを食べる家庭が増えている。豆腐の出番を増やすには、ライフスタイルやシーンに適応するものに変えていかなければならない。

当社は社是とは別に、「日本の食文化と大豆の可能性を見つめて」とサブタイトルを掲げている。鶏肉を生産するには2倍のカロリーの穀物が必要で、豚肉は5倍、牛肉は8倍。その論理で地球上に住める人間を試算すると、みんなが肉食だと17億人だが、バランスの取れた日本食ならば60億人が飢餓なく生きていけるという。

今、世界で日本食がブームになっている。日本のボーダレス化した食卓の中で、日本食以外にも対応する商品開発を行えば、豆腐作りを通して人類救済に貢献できる。大学を卒業した当時に考えていたことで、実現はできていないが、そんな大きな夢を持って取り組んでいく方が楽しい。

豆腐は、日本の食文化の重要な一翼を担っている。日本人は大豆をうまく利用して、食文化を代々受け継いできた。その途中のランナーとして次の世代にバトンを渡すために夢を持って続けていきたい。

山下 豆腐屋であることをばかにされていたと話にあったが、岡田さんはなぜ豆腐屋はばかにされると思うか。

岡田 サービス業など第三次産業に近いほど上だという意識があるのだろう。農家が「百姓だから」と卑下するのは江戸時代の士農工商の制度を受けてのことで、食卓を支えているプライドも持ち合わせている。あとから作られた概念の刷り込みによるものだと思う。

三好 豆腐を作って販売することは、健康を提供しているのだと最近つくづく思う。すばらしい商売であり、近い将来、朝食に豆腐と油揚げの入ったみそ汁が必ず復活すると信じている。

 豆腐屋になる前は陶器を作っていた。妻の父親に頼まれて豆腐屋を継いだが、もの作りが好きなだけで、そのプライドについて考えたことなど一切ない。豆腐屋がプライドとは何かを考えていることが奇異に感じてならない。

山下 確かに、自然体で当たり前に取り組んでいれば、プライドについて考えることはない。

井川 豆腐屋としてよりも自分のプライドとして、豆腐屋をやっている意義や自分でなければならない意味を考えると、自分にしかできないことをやることがプライドではないかと思う。

以前はめざす豆腐屋の理想像がぼやけていたが、今ははっきりと見えてきたので、それに突き進むことがプライド。(続く)

パネリスト

  • 棚橋道勝さん=棚橋食品社長(滋賀)
  • 三好岩雄さん=三好商店社長(大阪)
  • 林浩二さん=近喜社長(京都)
  • 井川清さん=井川商店主(大阪)、大阪府豆腐油揚商工組合青年部部長

コーディネーター

  • 山下浩希さん=山下ミツ商店社長(石川)

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