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山下 プライドを傷つけられことがあると思うが、それをいかにして乗り越えたか、その体験談を聞きたい。
私も12年前に個人商店から株式会社に改組し、同時に求人活動を始めて気の合った若者を半年がかりで口説き落としたが、彼の両親に「豆腐屋にするために息子を大学に行かせたわけではない」と大反対され、自分が一生懸命にやっている仕事は一体何なのだろうかと落ち込んだ。今思えば、プライドが粉々に打ち砕かれた。
棚橋 大学では醸造学を修め、大学院でようやく大豆と豆腐の研究をすることがかなった。5年で博士号を取得し、それを現場で生かせるつもりで実家に帰った。豆腐作りは小中学生のころに手伝っていたからできるが、大学院で学んだ理論体系に現実を押し込めようとしても、なかなかはまってこない。大学や工業試験場などから研究データが発表されているが、そのとおりやっても豆腐はできないし、湯葉もすくえない。実際のところ、条件などを突き詰めての厳密な研究は行われておらず、現場の事実をしっかり受け止めた上でしか学問を体系化することはできない。学問や知識を捨ててそれに取り組んだことで、最近ようやく理論と現実の距離が短くなってきた。
また自分の作った豆腐が一番おいしいと思っていたが、それを上回る豆腐と出会い、覆された。「育ってきた家庭の味」でしかなかったことを気付かされた。
今のにがり志向の豆腐は好きではない。にがり豆腐がこの業界を駄目にしていくだろうと考えている。だから、にがり豆腐をおいしいと思ったことはない。豆腐は舌触りやのど越しの良さが大切であり、それが当社の方向性。要望があるため一部でにがり豆腐も作っているが、個人的な好みはすまし粉豆腐。その路線で負けたと思う豆腐だった。当社の豆腐はきめが細かいと自負しているが、それ以上にきめ細かくて愕然とした。
プライドは持ってもいいが、それが独占的であっていけないと思う。現実や事実は素直に受け入れ、取り入れるものは取り入れて、負けたと思ったら負けを認めてさらに努力をしていく。それができれば、本当のプライドを築いていけるのではないだろうか。
三好 30年間やってきた中で、プライドを傷つけられることは日常茶飯事。最終到達地点を明確に定めているから、あまり気にしない。
林 京都の食文化が背中に重くのしかかっており、それを継承しつつ新しい商品を作り続けてお客に認めてもらうことが、自分のプライドを満足させている。
井川 豆腐作りに関して分からないことだらけでやってきたので、満足できる豆腐に仕上がったかと思えば、少したつと豆腐ができなくなったり、その繰り返し。これからも勉強しながら豆腐屋を続けていくのだろうと思う。
山下 私も最近、豆乳が思うように炊けない壁にぶち当たった。豆腐作りを始めて20年以上、「その間、何をやってきたのだ」と言われても仕方がなく、勉強を積み重ねるしかない。(続く)

ホテルグランヴィア京都で開かれた京都府豆腐油揚商工組合の新年懇親会。
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社史を読むだけでも永持孝之進名誉会長経営哲学が見える1冊。
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