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山下 それでは最後に、今後の自社や自店のビジョンと、豆腐業界がこうなってほしいと思うことを。
棚橋 当社は豆腐料理店も2店舗展開しているが、和食の料理人にとって豆腐は豆腐でしかなく、白和えや会席料理の一部に使うだけのもの。「この料理にはこの豆腐が一番良く合う」あるいは「この料理には豆腐をこうした方がおいしい」ということを和食の料理人よりも知っているプライドは持っている。
「にがり豆腐が業界を悪くしている」と言ったが、それはみんながにがり豆腐に偏重して没個性になり、それしかなくなってしまっているから。本物志向だとか言って豆腐そのもののおいしさばかりを追求すると、人間の胃袋の数は限られているから、豆腐のみでしか食べられなくなって、料理に応用する術をなくしてしまい、自分で自分の首を絞めることになる。すまし粉豆腐やグルコン(グルコノデルタラクトン=GDL)豆腐も含めて、どの料理にどの豆腐を活用していくのかを豆腐業者が自覚しなければ、ハンバーグやスパゲティの食卓に豆腐が並ぶことは一生ない。
当社は「日本の食文化と大豆の可能性を見つめて」とサブタイトルを掲げているが、食文化自体も進化をしていかなければいけないと考えている。アンパンが和食の進化であるように、豆腐も洋食に応用していけることが進化だと思う。
にがり豆腐のすべてを否定するつもりはないが、にがり豆腐を好む人は、大豆の味ではなく、にがりの味をおいしさと感じている。「昔の豆腐はおいしくなかったが、今のにがり豆腐なら食べられる」という人は、たいして豆腐を食べない。にがりの強い刺激を受けて味のある豆腐だと感じるのは、ハンバーガーで育った世代。すまし粉豆腐の方が、大豆の風味が断然引き立つ。にがり豆腐はにがりにごまかされてしまうため、きめの細かさを追及していこうと思えば障害になる。
実際に豆腐を使う現場のことを考え、その範囲が広がっていかなければ、豆腐業者の生きる範囲は狭まるだけ。当社はいろんなアイテムを拡充しながら、日本の食文化に貢献できるようにこれからも取り組んでいく。
ただし、すべての業者がすべてをやる必要はない。それぞれに強い豆腐屋が残っていって消費者の選択肢が増え、豆腐の世界が広がっていくことを願っている。
三好 到達地点は、目の届く範囲で年商2億円。移動販売車を10台に増やして粗利益75%をめざす。
商品に関しては、原料が大豆であれば何を作っても良いと思う。今夏は「寒天黒豆」「豆乳入りわらびもち」「豆乳プリン」を発売する予定。売れないものを売ろうとするのでなく、売れるものを売ることにエネルギーを注ぎたい。それが時流に乗った商売のやり方ではないか。
原料はあくまで大豆を使い、豆腐屋であることを肝に銘じながら、常に変えてお客に近づいていく。
林 豆腐は売り上げが低迷しているが、健康食品であることはもちろん、それ以外にも可能性は大きくあると思う。豆腐に限らず、大豆製品の可能性を業界全体で見つけていくべき。また地域ごとに特徴があるから、地域に合った新しい製品、需要を喚起するものを創造していくことが大切だ。
京都に店を構えるからには、京都に合ったもので、なおかつ新しいものを創造していくことが私に課せられた使命だと感じている。
井川 豆腐屋が格好良く、カリスマ職人として注目を集め、みんなが胸を張って豆腐屋だと言える業界になってほしい。
山下 岡田さんからこのパネルディスカッションの感想と豆腐業界へのエールを。
岡田 業界という枠にとらわれず、新しい可能性を一緒に探っていけたらいい。
日本の食育の現状をみると、子どもたちは知らないことだらけで、私たちがやらなければならないことはいっぱいある。やれば世の中を変えられると、私は希望をもって今の仕事に取り組んでいる。日本が駄目なら、世界を相手にすればいい。いろんなことに柔軟にチャレンジするスタンスでがんばってほしい。(終わり)

ホテルグランヴィア京都で開かれた京都府豆腐油揚商工組合の新年懇親会。
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社史を読むだけでも永持孝之進名誉会長経営哲学が見える1冊。
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