豆腐横丁

将来に希望の持てる豆腐業界にするために

2010-2-17

後継者が希望の持てる業界にしなければいけない——。

豆腐業界にとって後継者難は、かねてから最重要課題の一つ。今なお悩まされ続けているが、昨今の廉売の横行、その後遺症による経営難が相次いでいる現状に、このままではいけない——との思いを強くする豆腐業者も少なくない。

「子どもが喜んで後を継いでくれて業界が活気づき、発展するようにしないと。一生懸命に朝から晩まで働いているのに、いつまでたっても借金が減らないような業界では、誰も後を継ぎたがらない。それではいけない」

若者にとって夢の描ける魅力ある豆腐業界にしていくためには、近年激化する価格競争を食い止めることが何よりも先決である。価格競争をやめて品質で勝負する、そうすることで豆腐の需要喚起にもつながる。

価格ではなく品質で競争していく業界の風土をつくり上げることこそが、豆腐業界を発展へと導くのではなかろうか。これは企業単体で成せる技ではなく、業界にかかわる豆腐メーカー、機械メーカー、資機材業者、大豆卸商が協調し、取り組んでいく必要がある。

同業他社が1円値下げしたからといって、それを下回る価格で販売するようなマネをしていては、業界の将来像も描けない。豆腐業界に魅力がなくなれば、働く人がいなくなり、ひいては消費者のためにもならない。

かつて組合などでは価格調整を行っていた時期もあったようだが、今はそれが許される時代ではない。だが、業界の将来を考えると、激化する価格競争を見て見ぬ振りは到底できない。このままでは、いずれどうにもならなくなってしまうとしか思えない。豆腐業界に夢も希望も持てなくなる。

現状を捉えてどうすれば業界が良くなるのか、業界関係者が顔を突き合わして意見を交わせば、道も開けてくるはずだ。すぐに良くはならないにしても、これ以上は状況が悪くならないようにしなければいけない。このまま価格競争を続けていくと、あとは体力勝負。その結果、「互いにみんなで地獄行き」とならない保証はどこにもない。

これでは結局、スーパーも困ることになる。「豆腐は白くて四角ければ何でもいい。だから安いに越したことはない」などと、バイヤーに言われるようではいけない。それに近いことが今、現実に起こっているのではないか。

まずは、今よりも状況が悪化しないように連携し、行動を起こすべきだ。安売り競争の行き着く先は、破滅しかない。安売りは自らの首を絞める行為に他ならない。

安いだけで、おいしくもない商品を作っていたら、売れないからさらに安くしなければいけなくなって負のスパイラルに陥る。そうなると、業界にとって大きなマイナスになる。おいしい豆腐を作ることが何よりも大切で、価格を一度でも下げると、元に戻すのは並大抵ではない。

「正しいことは正しい」と言う勇気が必要だ。企業経営は自分の欲だけのためにやっているのではないはず。従業員を抱えて、給料も払ってあげなければいけない。安売りばかりして儲からず、税金払わない企業が増えれば、国がつぶれてしまう。

豆腐メーカーに限らず、機械メーカー、資機材業者、大豆卸商らが互いにもう少し踏み込んで気持ちを一つにし、どんどん価格を下げて安売りをする業者には抗議するくらいのことをしなければいけない。

安売りをしている業者も、自ら望んでその方向性を選択したわけではないはず。走り出したら止まれない事情は、理解できないわけではない。しんどい部分もかなりあるだろう。止まれないから走っているだけのこと。走り続けないといけないから、安売りをせざるを得ない状態になっているのだ。ただ、木に例えると、なぜヒノキが強くて重宝がられ、スギは安いのか。それを考えてほしい。それは年輪が違うからで、スギは年輪がすぐに育つから大きく、ヒノキは時間がかかるから小さい。それが頑丈さにつながっている。企業も同じことで、地道に蓄積して堅実にやる企業は強く、一気に伸びようとすれば力ももろくなるのである。老舗と呼ばれる店は、ただ単に何百年も続いているわけではない。例えば、羊羹で有名な「虎屋」は400年続いているそうだが、なぜ続くのか。無茶な販売をしないからではないか。

人生はゴールの見えないマラソンをしているようなもの。マラソンを走り出すときに、ゴールが分からなければどう思うか。同じ業界に携わる業者はみんな同じ苦労をしているのだから、もう少し互いに助け合い、思いやる気持ちがなければいけないのではないか。互いに思いやりを持てば、昨今のような価格競争には陥らないはずだ。今の世の中、自分さえ良ければいいという考えが蔓延している。自分だけ儲かればいいと考えると、周りのみんなもそう考えるようになる。だから、豆腐業界もいつしかこんな状況になってしまった。

これ以上悪くならないようにするために、みんなで意見を出して、それを実行に移したらどうか。このまま価格競争を続けていてもきりがない。儲からないことをどんどんやって、何の意味があるのか。安売りをするなとは言えないが、互いに人間だから話せば分かると思う。

若い世代からすると、理想論にしか聞こえないかもしれない。現実は緊迫しており、安く売りたいスーパーがあるのも事実。だが、いくら時代が変わっても、自らが定めた適正価格を維持しなければ、企業はもとより、業界が衰退の道をたどることになる。売り上げを落としても価格を守れるか、というと難しい選択になるが、今の価格帯を守り抜くことこそ、業界に明るい未来を期待できる希望につながるのではないか。

こうした思いが、このところ豆腐業者からひしひしと伝わってくる。


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